TOPPAN 凸版印刷株式会社

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GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 4.トライアル3-祖父江慎
トライアル3
さらにトラブルに挑戦する
「今回は盛りだくさんです。“食品”ものは、カレーに決定! カレーに使うようなスパイスをCMYKに振り分けて絵をつくることにします。カレーの中で黒パグが“おいしい!”って喜んでいる感じにできたらいいですね。次が“劣化印刷”です。いい方法がないかと探していたら、なんと“酢醤油がいいらしい”という情報が。そして、印刷ムラをつくる“ムラ印刷”です。前回の実験で見えてきた方法を使って、さらにわかりやすいように整理しながら、ポジ製版のフィルムに手を加えたり、印刷時にトラブルを起こしたります。最後に前回の“ベタベタ印刷”で実験した“透かしインキ”を効果的に使うため、用紙テストを行います。脂ジミという感じなので“シミ印刷”に改名です」
「カレー印刷」のトライアル
原稿
さくたえつこさんによるイラストの原画
用紙/インキ
用紙は、スパイスの色がわかりやすい真っ白なラフグロス系の紙とアート紙。インキの代わりにカレーに使われる色みが強いスパイスを用意。ただスパイスには青系がないため、そこには青汁を当てはめた。全てグロスニスに混ぜて使用。
用紙
ダイヤプレミアグロスアート/ルミネッセンス(マキシマムホワイト)
インキ
次のそれぞれの粉末をグロスニスに混入したもの
ターメリック/チリペッパー/粉末青汁/ブラックペッパー
製版/校正刷り
中央部の犬部分を反転し、175線で4色分解。
版の構成/刷り順
ターメリックを黄版に、チリペッパーを赤版に、青汁を青版に、ブラックペッパーをスミ版として、各スパイスの粉末入りグロスニスで印刷した
刷り順
ターメリック→チリペッパー→粉末青汁→ブラックペッパー
刷り上がり
各色6度刷りしたもの。印刷した直後はパステル調の美味しそうな色をしていたが、時間が経つとグリーン系に変色した。用紙の違いによる色の変化も大きい。
【全体】
用紙:ダイヤプレミアグロスアート
用紙:ルミネッセンス(マキシマムホワイト)
【ディテール】
左:用紙:ダイヤプレミアグロスアート/右:用紙:ルミネッセンス(マキシマムホワイト)
「ムラムラ印刷」のトライアル
原稿
さくたえつこさんによるイラストの原画
用紙/インキ
用紙は、祖父江氏が以前造本で使用し、金インキの印刷面に変化がみられた色上質の黄色を選択。一部の用紙には酢醤油をたっぷり染み込ませた(印刷時は乾燥したもの、半乾きの2種を使用)。金インキは、製造工程で酸化防止剤を添加しない特注品で、さらに酢醤油を混入したものも用意した。他に酢醤油を混入したメジウムなど。
用紙
色上質(黄)
インキ
金(酸化防止剤無添加)/金(酸化防止剤無添加/酢醤油混入)/メジウム(酢醤油混入)
製版/校正刷り
ネガ反転させた版を175線で出力。
版の構成/刷り順
金→メジウム(一部)
刷り上がり
【全体】
【A】インキ:金/用紙加工:酢醤油(乾燥)/後加工:なし
【B】インキ:金/用紙加工:なし/後加工:印刷後に酢醤油をスプレー
【C】インキ:金(酢醤油混入)/用紙加工:なし/後加工:なし
【ディテール】
上:左より、【A】、【B】
下:【C】
効果が顕著なのは印刷後に酢醤油をスプレーした【B】だった
「ムラ印刷」のトライアル
原稿
さくたえつこさんによるイラストの原画
用紙/インキ
再現性の良いラフグロス系を選択。インキはプロセス4色
用紙
ヴァンヌーボV(スノーホワイト)
インキ
プロセス4色(レギュラー)
製版/校正刷り
4色分解して175線でフィルム出力し、漂白液によって絵柄を剥離させ、金ダワシでこすって傷をつけたもの、熱を加えたものなどを作成。さらに刷版の焼付け時に、版によってはフィルムと刷版を密着させずに「焼きボケ」をつくった。印刷では水と油の反発で絵柄をつくるオフセット印刷の特性を利用し、刷版を水浸しにして「水負け」によるムラをつくった。
漂白液と金ダワシで傷つけたフィルム(M版)
版の構成/刷り順
K→C→M→Y
刷り上がり
【全体】
4版すべてフィルム加工(金ダワシ/漂白/焼きボケ)+水負け印刷
金ダワシや漂白で剥離した部分は色の掛け合わせが破壊されている
4版すべてフィルム加工(強い熱を加えて変形)
強い熱を加えて収縮したフィルム部分が放射状に変形した
【ディテール】
左:フィルム加工(金ダワシ/漂白/焼きボケ)+水負け印刷/右:フィルム加工(強い熱を加えて変形)
「シミ印刷」のトライアル
原稿
さくたえつこさんによるイラストの原画
用紙/インキ
透かし効果が出やすい用紙を数種類選択。透かしインキ効果を高めるために、不透明なオペークホワイト、ベタベタ感を出すグロスニス、絵柄用の銀などを使用
用紙
トーメイ新局紙/ハイメノウブレーン/npi上質/OKブリザード
インキ
透かしインキ/オペークホワイト/銀/グロスニス
製版/校正刷り
透かしインキ版は反転させたものも作成し、両面から印刷した
版の構成/刷り順
透かしインキ(表面/背景)→透かしインキ(裏面/背景)→オペークホワイト(犬、他)→銀(輪郭など)→グロスニス(背景などの効果用)
刷り上がり
【全体】
用紙:ハイメノウプレーン
【ディテール】
用紙:npi上質
透かしインキの効果はほとんど出ていない
用紙:OKブリザード
npi上質と比べると透かしインキの効果が出ているのがわかる
用紙:トーメイ新局紙
紙自体に透け感があるため透かしインキの効果がわかりにくい
用紙:ハイメノウプレーン
かなり透明感を感じることができる。最も透かし効果が高かった
トライアルを終えて
祖父江氏のコメント
「思い通りに行きそうなものと、難しいものとありました。“カレー”はツブツブな手触りはかなりいいですが、天然のスパイスだけではなかなか思うような色になってくれません。“劣化”は手ごわい!後から酢醤油をスプレーしない限り、あまり変化しませんね。もっともっと酢醤油を入れてみましょう。“ムラ”のフィルム加工は金ダワシで傷だらけにするのが面白くて、フィルムが変形して見当が合わなくなって版ズレが起こるのもいいですね。水負けはもっと大胆にやるとさらに面白くなりそうです。“ムラ”は要素が盛りだくさんなので、ポスターにするときは“ムラ”と“キズ”に分けるといいかもしれませんね。“シミ”の用紙はハイメノウに決定。カッコよくなりそうです」
担当PDのコメント
力技に移行して、ようやくトラブルが起こるようになってきた。とにかく計算し尽くしてトラブルを誘発するしかないことを痛感。用紙やインキなど素材自体に手を加えた“劣化”は、メジウムが中和するせいか難航している。製版や印刷などの工程に介入した“ムラ”はわかりやすいトラブルが引き起こせたように思う。“シミ”はトラブルっぽいものをつくりあげた、という感じだろうか。カレーは…、とにかく製版でもバランスを調整してもっとカレーらしくしたいと思う。
プロフィール

祖父江慎 Sobue Shin
祖父江慎
Sobue Shin

アートディレクター/ブックデザイナー
1959年愛知県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科入学。工作舎を経て、90年コズフィッシュ設立。人文書、小説、漫画など、幅広くブックデザインを手がけ、意図的な乱丁や斜めの裁断など、装幀の常識を覆すデザインでも注目を集める。主な仕事に『伝染るんです。』(吉田戦車)、『ユージニア』(恩田陸)、『言いまつがい』(ほぼ日刊イトイ新聞)など。96年日本書籍出版協会造本装幀コンクール受賞。97年講談社文化賞ブックデザイン部門受賞。2004年造本装幀コンクール文部科学大臣賞受賞。
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