TOPPAN 凸版印刷株式会社

当サイトは、コミュニケーションメディアのひとつである印刷表現の幅を広げ、クリエイティブに役立つ情報を発信するウェブサイトです。凸版印刷のグラフィック・アーツ・センター(GAC)が運営しています。

GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 4.トライアル3-仲野昌晴
トライアル3
紙地と陰影で5つの質感を表現する
「前回の反省を踏まえ、遠目、近目ともに質感の表現ができるようにしたいですね。最終のモチーフは葉、パン、肉、魚、髪の5つ。どのモチーフも、誰もがよく知っている身近なものばかりです。極力少ない色数で、紙地と陰影とニスでどこまで質感に近づけるかにトライします。パンは白くてほわほわした感じを出すように、肉は脂ののったギラギラとした生々しさを狙います。魚はギラリとした輝きとヌメリだけでなく生臭さまでを、髪はしっとりとした艶やかさとともに髪の重みまで表現できればと思います。葉はこれまでのトライアルで得たものを生かしつつ、植物らしいザラツキをポイントに考えました」
「パン」のトライアル
原稿
画像データ
用紙/インキ
パンの質感に合わせ、やわらかでしっとりしたコットン系を選択。
インキは紙色に対し効果的に陰影を表現できる茶系の特色2種と、ライト部用のオペークホワイトを使用。
用紙
GAコットン(白茶)/ハーフエア(コルク)
インキ
オペークホワイト/特色濃茶/特色淡茶
製版/校正刷り
線数はフェアドット※。ライト部を構成するホワイト版、シャドウ部を構成する特色版ともに、中間部の調子まで網羅するやわらかな版と調子を補足するコントラストの強い版の2種を組み合わせている。ホワイト版は発色をよくするために2度刷りした。

※フェアドット…FMスクリーンとAMスクリーンの長所を生かしたハイブリッドスクリーンで、画像の濃淡によって網点を使い分け、絵柄のあらゆる部分で最適な表現が可能。
版の校正/刷り順
オペークホワイト(ライト版1)→オペークホワイト(ライト版2)→特色濃茶(シャドウ版1)→特色淡茶(シャドウ版2)
刷り上がり
用紙:GAコットン(白茶)
【ディテール】
用紙:GAコットン(白茶)
白い繊維が走った用紙は見る角度によって繊維が光り、不思議な立体感が生まれた。
用紙:ハーフエア(コルク)
ふわりとした用紙の質感がパンのイメージと重なった。
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「肉」のトライアル
原稿
画像データ
用紙/インキ
生肉の質感に合わせ、生々しく肉っぽい色を基準に、強くて深みのある色合いを選択。
インキは紙色に対し効果的に陰影を表現できる深紅系の特色1種とライト部用のオペークホワイト、さらに脂を表現するためのグロスメジウムを使用。
用紙
タントセレクト TS-3(N-52)/ハンマートーンGA(朱)
インキ
オペークホワイト/特色赤/グロスメジウム
製版/校正刷り
線数はフェアドット。ライト部を構成するホワイト版は階調を変えて3種類を制作。
版の校正/刷り順
オペークホワイト(ライト版1)→オペークホワイト(ライト版2)→オペークホワイト(ライト版3)→特色赤(シャドウ版)→グロスメジウム
刷り上がり
用紙:タントセレクト TS-3(N-52)
【ディテール】
用紙:タントセレクト TS-3(N-52)
グロスメジウムによって脂のギラギラした質感がうまく出ている。
用紙:ハンマートーンGA(朱)
同じ版を使用しても用紙で表現のニュアンスは大きく変化する。
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「魚」のトライアル
原稿
画像データ
用紙/インキ
魚のギラギラとした輝きとヌメリを追求できるよう、メタリック系の用紙を選択。
インキはシャドウ部の調子と色合いの表現のために傾向の異なる2種の特色ブルーを調合。さらにライト部用のオペークホワイトと、ウロコの質感を出すためのグロスメジウムを用意。
用紙
クニメタル(NO.1104 グリーンシルバー)/エルマーメイド(ゴールドシアン)
インキ
オペークホワイト/特色ブルー1/特色ブルー2/グロスメジウム
製版/校正刷り
線数はフェアドット。ライト部を構成する版は、中間部の調子まで網羅するやわらかな版と、調子を補足するコントラストの強い版の2種を組み合わせて作成した。シャドウ部は色調の違う2種の特色ブルーで陰影と色調を補足。ただし、写真の再現性より質感に重点を置いた版設計とし、用紙別に版設計を変えた。さらに輝きとウロコの質感をグロスメジウムで強調。
版の校正/刷り順
オペークホワイト(ライト版1)→オペークホワイト(ライト版2)→特色ブルー1(シャドウ版1)→特色ブルー2(シャドウ版2)→グロスメジウム
刷り上がり
用紙:クニメタル(NO.1104 グリーンシルバー)
【ディテール】
用紙:クニメタル(NO.1104 グリーンシルバー)
グロスメジウムと用紙の鏡面光沢との組み合わせが、ウロコらしい質感を生んだ。
用紙:エルマーメイド(ゴールドシアン)
用紙独特の手触りときらめきが魚の表面のザラついたイメージと重なった。
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「髪」のトライアル
原稿
画像データ
用紙/インキ
髪のつややかさを出せる用紙を選択。
インキはシャドウ部の調子と色合いの表現のために、傾向の異なる2種の特色茶を調合。紙色を考慮した結果、かなり明るい赤茶系を採用した。さらにライト用のオペークホワイトとグロスニスを用意。
用紙
堅彩紙(黒)/アルグラスFCF128C2
インキ
オペークホワイト/特色茶1/特色茶2
製版/校正刷り
線数はフェアドット。ライト部を構成するホワイト版は中間部の調子まで網羅するやわらかな版と、調子を補足するコントラストの強い版の2種を組み合わせて作成した。シャドウ部は中間部の調子を表現する版と、立体感をつくる版で構成。ツヤ感はグロスニスで補強した。
版の校正/刷り順
オペークホワイト(ライト版1)→オペークホワイト(ライト版2)→特色茶1(調子版)→特色茶2(シャドウ版)→グロスニス
刷り上がり
用紙:堅彩紙(黒)
【ディテール】
用紙:堅彩紙(黒)
硬質な鉛筆で描いた細密画のような仕上がりになった。
用紙:アルグラスFCF128C2
通常、このような鏡面の用紙では、不透明なインキで紙地を隠蔽し、その上に絵柄を刷ることが多いが、今回は「紙地を活かす」という方向性から下地を作らない設計とした。結果的には、少し光沢が強く出すぎた。
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「葉」のトライアル
原稿
画像データ
用紙/インキ
トライアル1、2を踏まえ、用紙は1種に絞り込んだ。
インキは写真の再現性よりも質感を重視して調合し、ライト部用のオペークホワイトと、シャドウ用の特色緑2種を用意。
用紙
ニューウェブロンカラー(緑)
インキ
オペークホワイト/特色緑1/特色緑2
製版/校正刷り
線数はフェアドット。ライト部を構成する版は階調を変えた3種類(トライアル2と同じ設計)。シャドウ部は中間部の調子を表現するやわらかな版とコントラストを強調する硬めの版の2種を用いた。
版の校正/刷り順
オペークホワイト(ライト版1)→オペークホワイト(ライト版2)→オペークホワイト(ライト版3)→特色緑1(シャドウ版1)→特色緑2(シャドウ版2)
刷り上がり
用紙:ニューウェブロンカラー(緑)
【ディテール】
前回に比べ立体感が増している。
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トライアルを終えて
仲野氏(左)とPD田中氏(右)
「色紙に陰影を与え、ニスや白を加えるだけでこれだけの質感ができるということが改めてわかりました。同時に、見え方がものすごく用紙に左右されることも理解できました。紙選びは本当に重要なんですね。ポスターでは、さらに五感全てに訴えかけられるようなつくりこみをしていきたいと思っています。たとえば魚ならもっと生臭く、髪ならしっとりと、『らしさ』を印刷の妙味で表現していきたいと思います。
それにしてもこれだけ接写して拡大するとすごい迫力ですね。『肉』の生々しさや『パン』の立体感には本当に感動しました」
担当PDのコメント
「用紙の色が濃いものは版をつくるのが難しい。用紙の性質によって色がどれだけ出てくるかも変わり、版でつくった調子の生き方も変わってくる。今回の実験で『葉』と『肉』、『パン』はおおよその目処がついたように思う。『魚』もどういう方向に進めばいいかが見えてきた。それにしても難しいのが『髪』だった。紙色が非常に濃いため、どんな色をのせてもモノトーンにしか見えなくなるので、用紙自体の再考も必要かもしれない」
本番に向けて
「次回はもう本番のポスター制作ですね。実寸になることも配慮しながらデザイン処理をしていきます。現段階では、それぞれのモチーフに対して皆が連想するような形状をデザインに落とし込もうかなと思っているのですが…」
プロフィール

仲野昌晴 Nakano Masaharu
仲野昌晴
Nakano Masaharu

アートディレクター
1976年神奈川県生まれ。東京藝術大学美術学部工芸学科漆芸専攻卒業、東京藝術大学大学院美術学部修士課程修了。CM制作に携わった後、フリーランスを経て、2004年より凸版印刷株式会社勤務。トッパンアイデアセンタープロモーション本部所属。企業の商品キャンペーン企画を主体に、ポスター、パッケージ、販促物などビジュアル関連のクリエイティブディレクションを手がける。
  • グラフィックトライアル twitterはじめました

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