TOPPAN 凸版印刷株式会社

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GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 4.トライアル3-福岡南央子
トライアル3
基本的なインキで視覚効果を確かめる 3
「だんだんと顔のパターンも複雑になってきました。これまでにわかった効果を、どうやったらうまく取り入れられるかを考えながら絵をつくっています。今回実験するのは、ひとつは刷り順によって見え方が違うかどうかと、マットスミとスミの表現の違い。さらに、前回から引き続いて銀の効果的な見せ方についても実験してみます。頭の中では誰もが知っていると思うことばかりですが、それを実際にやりながらいちばん生かせることを探す、というのが私のトライアルになっているようです。知っている技法を集約して新しい使い方を発見したいですね」
原稿
データ4種
【A】 【B】 【C】 【D】
用紙/インキ
前回のトライアルを踏まえ、用紙は2種に絞り込んだ。
インキは基本のプロセス4色と銀のほか、一部の差し替え用として広演色インキ「Kaleido」※、マットスミを用意した。


※Kaleido…従来のプロセス4色印刷では再現しきれなかったRGB画像の広い色領域を、6色、7色印刷に近いレベルで再現可能とした4色プロセスインキ
用紙
雷鳥ダルアート/ヴァンヌーボV(ホワイト)
インキ
プロセス4色/銀/マットスミ/広演色インキ「Kaleido」
製版/校正刷り
線数は175線。
基本の刷り順のものとは別に、スミを最後に刷る刷り順違いや、スミをマットスミに差し替えるなどのテストも行なった。
版の構成/基本の刷り順
【A】: 銀→K→C→M→Y ※銀以外は広演色インキ「Kaleido」
【B】: 銀→K→M→Y
【C】: 銀→K→Y
【D】: 銀→K→C→M→Y
刷り上がり
【A】
刷り順:銀→K→C→M→Y
用紙:雷鳥ダルアート
【分版】
銀版 K版 C版 M版 Y版
【ディテール】
刷り順:銀→K→C→M→Y
基本の刷り順。
スミ版ベタの部分にも絵柄の色が浮き上がり、比較的鮮やかに見える。
刷り順:銀→C→M→Y→K
スミを最後に刷ったもの。
基本の刷り順(銀→K→C→M→Y)と比較すると、スミ版ベタの部分の絵柄の色合いは劣るものの、絵柄の形はパキっと見えている。
刷り順:銀→C→M→Y→マットスミ
最後にマットスミを刷ったもの。
スミ版ベタの下の絵柄が最も透けて見え、銀の効果がはっきりわかる。
刷り上がり
【B】
刷り順:銀→K→M→Y
(刷り順は一通り)
用紙:ヴァンヌーボV(ホワイト)
【分版】
銀版 K版 M版 Y版
【ディテール】
用紙:ヴァンヌーボV(ホワイト)
グラデーションが非常に滑らかに仕上がった。
刷り上がり
【C】
刷り順:銀→K→Y
用紙:雷鳥ダルアート
【分版】
銀版 K版 Y版
【ディテール】
刷り順:銀→K→Y
銀と同程度の明度のスミの平網で、「3」のかたちをした「左目」を背景のストライプ状の銀と抜き合わせで配置。
正面からはほとんど見えなかったが、見る角度によっては銀だけが光り、その光沢の差によって「3」が浮かび上がってくる。
刷り順:銀→Y→マットスミ
スミをマットスミに差し替えて最後に刷ったもの。
銀の上にマットスミを刷り重ねた「髪」の部分では、下に刷った銀がマットスミをはじいてくっきり見えている。
あごの「ヒゲ」部分では、黄と銀をベタで掛け合わせて金色を表現した。
刷り上がり
【D】
刷り順:銀→K→C→M→Y
用紙:雷鳥ダルアート
【分版】
銀版 K版 C版 M版 Y版
【ディテール】
刷り順:銀→K→C→M→Y
基本の刷り順。
あごの「ヒゲ」の部分は、スミ・シアン・マゼンタそれぞれ100%掛け合わせの黒になっている。
スミ1色のあご以外の部分と比較すると、明度差がわかりやすいだけでなく、最後に刷ったマゼンタの色合いまでよく見える。
刷り順:銀→C→M→Y→K
スミを最後に刷ったもの。
スミが最後にのっているため、あごの「ヒゲ」に色合いはあまり見られない。
刷り順:銀→C→M→Y→マットスミ
スミをマットスミに差し替えたもの。
面積が小さいためマットスミの効果はあまりない。
トライアルを終えて
福岡氏のコメント
「頭で考えているものと実際に刷るものとではこんなに違うんだな、と実感しました。今まででいちばん予想外のものが多くて楽しいです。ピンクのグラデーションの顔は、夢のようにきれいな仕上がりで嬉しいですね。色数はとても少ないのに不思議な色で、きれいなグラデーションになりました。黄と銀の掛け合わせで金のインキよりも金色らしくなったのも発見でした。マットスミと普通のスミも、使い方によって効果が変わってくるんですね。
本番のポスターサイズになるとまた効果も違ってくるかもしれませんね。実験していることがすごくデリケートなことなので、展示の時は見る角度や位置によって全然イメージが違うかも。その辺を考えないと…」
担当PDのコメント
「当初からわかっていたことだが、銀を100%ベタで刷った上にインキを重ねてもキレイにのらない。今回の実験ではそれを逆手にとったかたちになった部分が多く見られた。上にのるスミで隠蔽されずに光ってくれたり、質感がより一層変わって見えたりという効果が生まれている。銀と黄の掛け合わせによる金の発色も発見だった」
本番に向けて
「どう実験の効果を盛り込みながら本番のポスターをつくるか、悶々としています。やってみて初めて見える印刷のチャーミングな効果にも出会えたので、今度は実寸大で試しながら組み立てていきます」
プロフィール

福岡南央子 Fukuoka Naoko
福岡南央子
Fukuoka Naoko

アートディレクター
1976年神戸市生まれ。98年金沢美術工芸大学視覚デザイン科卒業。FLAPPER STUDIO、Glanzを経て、2003年株式会社ドラフト入社。主な仕事に、キリンビバレッジ「世界のKitchenから」、光文社PR誌「本が好き!」など。08年JAGDA新人賞・パッケージ賞、東京ADC賞、09年日本パッケージデザイン大賞金賞受賞。
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