TOPPAN 凸版印刷株式会社

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GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 3.トライアル2-八木克人
トライアル2
『水』の透明感と『木』のテクスチャー
「今回は『水』と『木』の質感表現にチャレンジします。『水』は独特の透明感と鮮やかな色が印象的な南国の海。あわせて濡れたような質感も狙ってみるつもりです。『木』は木肌をクローズアップした素材を使い、有機的な質感と立体感の再現をめざしてみたいと思います。版のつくりかたやインキの選択と重ね方、スクリーンの選択など、それぞれのテーマごとに異なったアプローチを見つけられたら、かなり面白いことになるはず。どんな答えを出してもらえるのか、今から楽しみです」
「水」のトライアル
原稿
画像データほか2点
用紙/インキ
水の透明感と光沢感を狙ったアート紙、絵柄部分のみの光沢感を狙ったダル系の用紙などの3 種で出校。
インキは超光沢メディウムで薄めた特色を使用し、透明感の創出をめざした。
用紙
OKトリニティNavi/ヴァンヌーボV(スノーホワイト)/特菱アート両面
インキ
A:特色青(超光沢メジウムでシアンを薄めたもの)
B:特色1(青+超光沢メジウム)、特色2(緑+超光沢メジウム)、特色3(DIC71)、特色4(DIC67)、特色5(DIC101)、特色6(DIC14 +超光沢メジウム)
C:特色青1(DIC182)、特色青2(DIC99)、特色青3(DIC20)、特色緑1(DIC251)、特色緑2(DIC215 +超光沢メジウム)、特色緑3(DIC12 +超光沢メジウム)
D:プロセス4色
【B】の色玉
【C】の色玉
製版/校正刷り
線数はA、B、Cはフェアドット、Dは175線。
写真の再現ではなく、印刷ならではの水の透明感の追求を目的とした3パターンで製版した。
A:製版でトーンを変えながら制作した6つの版を全て同じ色で重ね刷りした。
B:青緑系をメインとした色相の異なる6版で構成した。
C:青系の色調の幅をカバーするトリプルトーンと緑系の色調の幅をカバーするトリプルトーンとの、ダブルトリプルトーンで構成した。
D:比較のため、通常の4色分解をプロセス4色で刷ったものを出校した。
※フェアドット… FMスクリーンとAMスクリーンの長所を生かしたハイブリッドスクリーンで、画像の濃淡によって網点を使い分け、絵柄のあらゆる部分で最適な表現が可能。
版の構成/刷り順
A:特色青→特色青→特色青→特色青→特色青→特色青
B:特色1→特色2→特色3→特色4→特色5→特色6
C:特色青1→特色青2→特色青3→特色緑1→特色緑2→特色緑3
D:K→C→M→Y
刷り上がり
【A】

用紙:特菱アート両面
特色青を6 度刷り重ねたもの
【B】

用紙:OKトリニティNavi
特色6色で刷ったもの
【C】

用紙:OKトリニティNavi
ダブルトリプルトーンで刷ったもの
【D】

用紙:特菱アート両面
CMYKの4色で刷ったもの
【ディティール】

【A】超光沢メジウムの重ね刷りにより、水の濡れた質感が感じられる

【B】超光沢メジウムの混ざった淡色の刷り重ねによって、光沢のある透明感表現と色相再現が両立できた

【C】色相を青系と緑系に絞ったダブルトリプルトーンによって、それぞれの色相の中に鮮やかな深みが出現した

【D】CMYKの4色で刷ったもの
「木」のトライアル
原稿
画像データほか2点
用紙/インキ
用紙は再現性に秀でたアート紙と、質感のあるラフグロス系の紙の2 種で出校。
インキはオペークホワイトで質感表現を実験した。
※Kaleido・・・ 従来のプロセス4色印刷では再現しきれなかったRGB画像の広い色領域を、6色、7色印刷に近いレベルで再現可能とした4色プロセスインキ
用紙
ヴァンヌーボ スムース-FS/特菱アート両面
インキ
A:プロセス4色、オペークホワイト、マットニス
B:プロセス4色
C:プロセス4色、オペークホワイト
製版/校正刷り
製版は全て175 線。
【A】ではM版をベースに2値化(白と黒の2階調にする)したネガ版をオペークホワイトで8 度刷り重ね、下地をつくってからプロセス4 色を印刷した。仕上げに部分的にマットニスを加えてザラッとした質感を表現した。比較のため、【B】として下地とマットニスを刷っていないものも出校した。【C】では、CMYK 各版と同じ版でオペークホワイトを各色版の間に挟みこむように印刷。色調が隠蔽されないようにCMYK 各版を強め、通常と逆に淡い色から刷り重ねた。
版の構成/刷り順
A:オペークホワイト×8回→K→C→M→Y→マットニス
B:K→C→M→Y
C:Y→オペークホワイト→M→オペークホワイト→C→オペークホワイト→K
刷り上がり
【A】

用紙:ヴァンヌーボ スムース-FS
オペークホワイトを8 度刷り重ねて下地を作ったもの
【B】

用紙:ヴァンヌーボ スムース-FS
CMYK の4 色で刷ったもの
【C】

用紙:ヴァンヌーボ スムース-FS
CMYKとオペークホワイトを交互に刷り重ねたもの
【ディティール】

【A】オペークホワイトを8 回刷り重ねたことにより、発砲印刷のような立体感が生まれた

【B】CMYKの4色で刷ったもの

【C】CMYK 各色の上に刷られたオペークホワイトが、色調に独特の風合いを加えている
トライアルを終えて
八木氏のコメント
「今回もそれぞれ面白い質感が出ました。『水』は透明感にフォーカスしました。濡れたようなグロス感ならニスを使った演出がある程度想像できるので、トライアルでは透明感に集中したんです。この方向で薄めなトーンに合わせるのがよさそうですね。『木』はオペークホワイトの重ね刷りとニスで触感に訴えるような質感表現の可能性が見えてきました。さあ、これで4 つの質感が出揃いました。今度はこれをどう融合していくかが課題ですね」

トライアル1とはまた違うアプローチで設計をしてみた。『水』はフェアドットスクリーンを使いながら多版刷りに挑戦。インキやメジウムの光沢感も計算に入れながらの設計だ。『木』では立体感を出すために同一版でインキを刷り重ねてみたが、発泡インキ風の盛り上がりという成果を得られた。「技術のクリスタライズをつくりたい」との要望を踏まえ、今回も表現としての面白さを狙った実験的な手法も試してみた。うまくまとめていけばかなりいいものができそうだ。

次に向けて
「4つの質感のつくり方は見えてきたので、ポスターとしての構成やモチーフの吟味をしていくつもりです。同時に4つの質感をシンプルに組み合わせて、よりいっそう質感を際立たせる印刷手法に挑戦してみたいと思います」
プロフィール

八木克人 Yagi Katsuhito
八木克人
Yagi Katsuhito

アートディレクター
1971年東京都生まれ。99年東京藝術大学大学院美術学部修士課程修了後、凸版印刷株式会社入社。トッパンアイデアセンタークリエイティブ本部に在籍。出版分野を主体に雑誌、カタログ、カレンダー、ポスターなどのクリエイティブディレクションを手がける他、旅を通してランドスケープの写真を撮り続ける。自らの写真を素材とした映像作品や、絵画、音楽等他ジャンルのアーティストとのコラボレーション作品など、写真という枠にとらわれない制作活動も行っている。
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