TOPPAN 凸版印刷株式会社

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GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 2.トライアル1-八木克人
トライアル1
『岩』のテクスチャーと『空』のグラデーション
「印刷でどんな質感がつくりだせるか、まずは『岩』と『空』で表現を極めてみたいと思います。『岩』はアメリカのヨセミテやネパールのポカラで見つけた石などが素材です。パールが入ったようなキラキラしたテクスチャーがあるものと、ザラっとした石の層をもつものを選んでみました。『空』では空気の質感をどう表現するかが課題です。朝焼け・夕焼けを撮った写真を選びましたので、赤から青への非常に彩度の高いグラデーションをどう再現できるかにトライしてみたいと思います。透明感のある広がりが感じられるものになるといいのですが。それぞれを印刷でどこまでつくりこめるのか楽しみです」
「岩」のトライアル
原稿
画像データほか2点
用紙/インキ
再現性に秀でた紙と、質感のあるラフグロス系の紙の2種で出校。
インキはプロセス4色に金、銀、白などを刷り重ねながら密度の高い硬質な質感表現を狙った。
用紙
特菱アート両面/ヴァンヌーボV(スノーホワイト)
インキ
プロセス4色、銀、金、特色金(金+パールメジウム)、オペークホワイト、特色スミ
製版/校正刷り
製版は175線。
不透明インキと透明インキの刷り重ねを軸として、鉱物の階層構造をオフセットの刷り重ね表現に見立てて設計。銀版と金版でプロセス4色をはさむように刷り重ね、その上に、ハイライト部分を強調するためにネガ版でオペークホワイト、シャドウ部分を出すためにネイビー系の特色スミを刷り重ねた。光り具合のテストとして、金にパールメジウムを混ぜたものも試した。
また、比較のために通常の4色分解をプロセス4色で刷ったものも出校した。
版の構成/刷り順
A:銀→K→C→M→Y→金→オペークホワイト→特色スミ
B:K→C→M→Y
刷り上がり
【A】
用紙:ヴァンヌーボV(スノーホワイト)
4点の素材の質感に合わせ、製版と版の役割りを設定した
 
【B】
用紙:ヴァンヌーボV(スノーホワイト)

CMYKの4色で刷ったもの
 
【ディティール】
【A】シャドウ部に金を効かせた版構成。画像データと一緒に入稿された鉱物にあったような雲母のきらめきを狙った(左)/ラメのようなきらめきを硬めの製版で演出している(右)
【A】の金を特色金(金+パールメジウム)にしたもの
【B】CMYKの4色で刷ったもの
「空」のトライアル
原稿
画像データほか2点
用紙/インキ
再現性に秀でた紙と、質感のあるラフグロス系の紙の2種で出校。 広演色インキ「Kaleido」で彩度の高い美しいグラデーションを追求し、さらに補色用に薄赤と薄藍の特色で補った。
※Kaleido・・・ 従来のプロセス4色印刷では再現しきれなかったRGB画像の広い色領域を、6色、7色印刷に近いレベルで再現可能とした4色プロセスインキ
用紙
特菱アート両面/ヴァンヌーボV(スノーホワイト)
インキ
A:プロセス4色(広演色インキ「Kaleido」)、特色薄赤A、特色薄赤B、特色薄藍A、特色薄藍B
B:プロセス4色(レギュラーインキ)
製版/校正刷り
【A】は300線の線数で製版。原稿は赤と青を基調とした空が多かったため、薄赤を2色、薄藍を2色追加して、なめらかなグラデーションと澄みきった色を目指した。
モアレ対策として、【A】をフェアドットで製版したものもテスト。
また、比較のために175線で通常の4色分解をプロセス4色で刷ったものも出校した。
※フェアドット・・・ FMスクリーンとAMスクリーンの長所を生かしたハイブリッドスクリーンで、画像の濃淡によって網点を使い分け、絵柄のあらゆる部分で最適な表現が可能
版の構成/刷り順
A:K→C→M→Y→特色薄赤A→特色薄赤B→特色薄藍A→特色薄藍B
B:K→C→M→Y
刷り上がり
【A】
用紙:ヴァンヌーボV(スノーホワイト)

RGBに近い色調が再現できた
 
【B】
用紙:ヴァンヌーボV(スノーホワイト)

CMYKの4色で刷ったもの
 
【ディティール】
【A】の300線で出校したもの
【A】のフェアドットで出校したもの
300線のものとほぼ同等の結果となった
【B】CMYKの4色で刷ったもの
トライアルを終えて
八木氏のコメント
「ここまでやるかというほど異なった手法を試すことができました。インキの選択と積み重ねで『岩』では想像以上に雲母のきらめきや重厚な質感が再現できました。『空』はきれいなグラデーションにフォーカスして彩度の高いインキと特色の活用でトライアルした結果、オレンジ系がとても効果的な発色になりました。実際に僕が眼にして感動した鮮やかな夕日に近い発色が得られたのが嬉しいです。今回はバックを白と黒にしていますが、本番では背景の質感も考えて構成する必要がありますね」

1回目のトライアルなので、制限を設けずに組み立てて、求める質感ごとに異なる手法で設計してみた。『岩』はどれだけ積み重ねていったら原稿の質感に近づけるかという、足し算タイプの版設計になっている。画像が4種あり、版数等の条件は当然4種とも共通ではあるが、画像ごとに各版の役割を変えた製版設計をしており、一枚の印刷物でも複数の表現実験となった。一方、『空』では高い再現性よりも「鮮やかなグラデーション」という目的に絞り込んで設計をし、RGBのイメージに近い色調をつくりだすことができた。彩度の高い補色版が幸を奏した結果である。

次に向けて
「次は残りの『水』と『木』の質感にトライアルします。今回の出校では想像以上の結果が得られたので、次も大いに期待しています」
プロフィール

八木克人 Yagi Katsuhito
八木克人
Yagi Katsuhito

アートディレクター
1971年東京都生まれ。99年東京藝術大学大学院美術学部修士課程修了後、凸版印刷株式会社入社。トッパンアイデアセンタークリエイティブ本部に在籍。出版分野を主体に雑誌、カタログ、カレンダー、ポスターなどのクリエイティブディレクションを手がける他、旅を通してランドスケープの写真を撮り続ける。自らの写真を素材とした映像作品や、絵画、音楽等他ジャンルのアーティストとのコラボレーション作品など、写真という枠にとらわれない制作活動も行っている。
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