TOPPAN 凸版印刷株式会社

当サイトは、コミュニケーションメディアのひとつである印刷表現の幅を広げ、クリエイティブに役立つ情報を発信するウェブサイトです。凸版印刷のグラフィック・アーツ・センター(GAC)が運営しています。

GRAPHIC TRIAL グラフィックトライアルトップクリエイターとともに印刷表現の可能性を探ります

GRAPHIC TRIAL 2.トライアル1-永井裕明
トライアル1
墨と箔、微妙な質感の繊細な表現
「今回のトライアルは4種類です。1つ目は『墨』。質感の異なる素材(岩絵具や墨や鉛筆)で描かれた黒ベタの濃度や質感の再現性をテストします。2つ目は『重ね』。胡粉の白と箔の銀、墨の黒の3色と和紙を重ねあわせてつくった原稿で、重ね刷りの効果を見てみたいと思います。3つ目は『隠蔽』。インキの隠蔽性を確かめてみます。4つ目は『箔』。箔と油紙の再現に挑戦します」
「墨」のトライアル
原稿
画家の牛島氏が制作したテスト用原稿。岩絵具、墨(高清、青龍胎)、鉛筆を使用。
用紙/インキ
白い紙を中心に、風合いのあるものや包装紙などに使用される薄手のものを選択。また、岩絵具の輝きの表現を考慮し銀色の紙も試した。
インキは、岩絵具、墨、鉛筆の色と質感を再現するため、ハーフマット、グロス、鉛筆色など5種類の特色スミを用意。
用紙
新鳥の子(薄クリーム)/ヴァンヌーボF(ナチュラル)/新局紙(古染)/純白ロール紙 はまゆう/ハイピカE2F(シルバー)
※純白ロール紙は裏・表両面を使用
インキ
白紙用 :スミ/特色スミ(5種)/銀
ハイピカ(銀紙)用 :スミ/特色スミ(5種)/ホワイト
製版/校正刷り
トライアルの結果を冊子状に整えるために共通フォーマットを設定。あらかじめ全ての紙にスミ1色で印刷した。(他のトライアルも同様)
白紙用とハイピカ用の2種類の版を制作。分解版をベースにしつつ、微妙なニュアンスを際立たせるようにかなり硬めの製版とした。白紙用では岩絵具の粒子状の輝きを表現する銀の版をつくり、ハイピカ用では紙地を隠蔽するホワイト版を追加した。
版の構成/刷り順
白紙用 :スミ(フォーマット用)→特色スミ(ハーフマット)→特色スミ(グロス)→特色スミ(薄)→特色スミ(薄)→特色スミ(鉛筆色)→銀
ハイピカ用 :スミ(フォーマット用)→オペークホワイト→特色スミ(ハーフマット)→特色スミ(グロス)→特色スミ(薄)→特色スミ(薄)→特色スミ(鉛筆色)
刷り上がり
用紙:ヴァンヌーボF(ナチュラル)
左端の黒。4種の特色スミの上に点状の銀の版をのせ、岩絵具の粒状感を出している。
右から2番目の黒。下部の膠だまりをグロス感のある特色スミで表現。鉛筆は銀を混ぜた特色スミで表現している。
「重ね」のトライアル
原稿
画家の牛島氏が制作したテスト用原稿。胡粉、銀箔、墨(高清)、和紙(土佐典具帖紙)を使用。
用紙/インキ
白い紙を中心に、風合いのあるものや包装紙などに使用される薄手のものを選択。また、箔の表現を考慮し銀色の紙も試した。
用紙
新鳥の子(薄クリーム)/ヴァンヌーボF(ナチュラル)/新局紙(古染)/純白ロール紙 はまゆう/ハイピカE2F(シルバー)
※純白ロール紙は裏・表両面を使用
インキ
白紙用 :スミ/特色銀/特色ホワイト/ホワイト/特色スミ
ハイピカ(銀紙)用 :スミ/特色ホワイト/ホワイト/特色スミ
製版/校正刷り
白紙用とハイピカ用の2種類の版を制作。分解版をベースにしつつ、微妙なニュアンスを際立たせるようにかなり硬めの製版とした。
版の構成/刷り順
白紙用 :スミ(フォーマット用)→特色銀→特色ホワイト(和紙色)→ホワイト(顔料色)→特色スミ(ハーフマット)
ハイピカ用 :スミ(フォーマット用)→ホワイト(紙地色)→特色ホワイト(和紙色)→ホワイト(顔料色)→特色スミ(ハーフマット)
刷り上がり
用紙:ヴァンヌーボF(ナチュラル)
特色ホワイトを用いた和紙の繊細な表現はオフセットならでは。
墨の、和紙の上でのにじみ具合や、箔の上でのはじき具合を再現。
「隠蔽」のトライアル
原稿
永井氏がグラフィックトライアルのために制作したマークを用いた。
用紙/インキ
白い紙を中心に、風合いのあるものや包装紙などに使用される薄手のものを選択。
マークや地色の銀を、イエローやホワイトでどれだけ隠蔽できるかを試した。
用紙
新鳥の子(薄クリーム)/ヴァンヌーボF(ナチュラル)/新局紙(古染)/純白ロール紙 はまゆう
※純白ロール紙は裏・表両面を使用
インキ
スミ/特色銀/イエロー/ホワイト
製版/校正刷り
マークのデータの上に隠蔽するための版をイエロー版、ホワイト版で作成。それぞれ画面を分割し1度刷り、2度刷り、3度刷り用の版を作成した。
版の構成/刷り順
スミ(フォーマット用)→特色銀→イエロー→イエロー→イエロー→ホワイト→ホワイト→ホワイト
刷り上がり
用紙:ヴァンヌーボF(ナチュラル)
右上から反時計回りに、銀、銀+イエロー、銀+イエロー+イエロー、銀+イエロー+イエロー+イエロー。
左上から時計回りに、銀、銀+ホワイト、銀+ホワイト+ホワイト、銀+ホワイト+ホワイト+ホワイト。期待した程の隠蔽効果を得られなかった。
「箔」のトライアル
原稿
永井氏が大切に保管していた古い箔の転写用油紙
用紙/インキ
用紙
白い紙のほか油紙の質感を考慮し、色のついた透けた紙も試した。
純白ロール紙 はまゆう/シープスキン(古色)
※純白ロール紙は表裏を逆転して使用
インキ
純白ロール紙用 :スミ/特色オレンジ2種/特色銀/特色金
シープスキン用 :スミ/特色オレンジ/特色銀/特色金/ホワイト
製版/校正刷り
紙地の薄い純白ロール紙では、裏面刷りを組み合わせた版構成を採用した。
版の構成/刷り順
純白ロール紙用 :スミ(フォーマット用)→特色オレンジA(裏刷り/紙地色)→特色銀→特色金→特色オレンジB
シープスキン用 :スミ(フォーマット用)→ホワイト→特色銀→特色金→特色オレンジB
刷り上がり
用紙:シープスキン(古色)
箔の剥がれ具合や微妙な調子を、金をベースに銀やオレンジを用いて表現している。
トライアルを終えて
永井氏のコメント
「オフセットでできることとできないことが結構わかってきた気がします。たとえば『墨』のトライアルや『重ね』のトライアルのような複雑な質感は、写真製版のテクニックに加えて“騙しのテクニック”を用いないと表現できないことがよくわかりました。考えてみれば、写真表現に擬似的な表現をうまく取り入れるのはオフセット印刷本来の表現ですからね。それを最大限に活用しながら、オフセット印刷の限界を指し示す針を振り切れるか。それを目標に次に繋げていきたいと思います」
写真製版の王道にあるテクニックが生きたトライアルだった。写真製版による調子版をつくりこむことでクリアした箔や墨の微妙な質感表現はオフセット印刷ならではのもの。写真製版と騙し絵のテクニックによる力技で乗り切った感がある。それにしても、スクリーン印刷や箔にはない繊細な表現こそがオフセット印刷の美しさなのだと再確認させられたトライアルとなった。
次に向けて
「次回は鉛筆の表現、スクリーン(鉛筆の重なり)・砂子(散らした箔)の表現、絵具(色)の表現、キラ(雲母)の表現にトライする予定です」
プロフィール

永井裕明 Nagai Hiroaki
永井裕明
Nagai Hiroaki

アートディレクター
1957年東京都生まれ。
東京都立工芸高等学校デザイン科卒業後、ブレックファーストを経て、88年N.G.設立。主な仕事に、佐川急便CI・グラフィック全般、横浜ゴム「PRGR」「ADVAN」グラフィック広告、和歌山県観光キャンペーン広告、サントリー「山崎」「膳」グラフィック広告、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館「Jan Fabre展」「オシャベリ@美術館展」、川村記念美術館「ピカソ展」「パウル・クレー展」など。N.Y.ADC国際展金賞・銀賞、全国カタログ・ポスター展通産大臣賞、JAGDA新人賞、東京ADC賞など受賞。
  • グラフィックトライアル twitterはじめました

PDFファイルをご覧になるには、下のボタンから最新のプラグインをダウンロードし、インストールしてご覧ください。

Get Adobe Reader

  • ご意見・ご感想・お問い合わせ 
  • 著作権について 
  • 個人情報保護方針
© 2002 TOPPAN PRINTING CO., LTD.